簡易支持力試験機エレフット

簡易支持力試験機とは?

基礎地盤の支持力を確認する方法として最も一般的な方法は平板載荷試験です。
しかし平板載荷試験は費用が高い・時間がかかるなどの問題があります。

そのため小規模工事や急ぎの工事では支持力試験を実施できず、目視による支持力の推定を行っているという場合が多くあります。
しかし、近年は施工の効率化工事の品質低下防止が求められております。

本試験機は、これらの解決を目的としております。
たとえ小規模な現場であっても、地盤の支持力度を簡易に計測することが可能です。また、時間の短縮・費用の削減の点でも、大きな効果が期待できます。

製品概要

  • 簡易支持力試験「ELEFOOT」(以下、エレフット)は、高さ49.8cm、最大幅67.0cmと小さく、約8.0kgと軽量です。そのため簡単に持ち運びができます。
  • 試験方法は、載荷板を介して荷重を載荷する直接載荷試験です。荷重制御方式の段階式載荷を採用しており、反力として体重を利用します。
  • 試験より得られる「載荷圧力~沈下量」曲線から設計で考慮している極限支持力度の有無を判定します。
  • 対象地盤は、構造物基礎地盤のうち粘性土~砂質土の土粒子が小さい範囲を対象としています。

ここが特徴

項目特徴
試験時最大寸法高49.8cm×幅67.0cm
本体重量約8.0kg
試験目的極限支持力の確認
載荷板直径16mm、25mm、30mm、40mm、50mm
反力測定者の体重など
測定回数1箇所あたり10回以上
試験時間1箇所あたり30分程度
測定結果載荷圧力~沈下量曲線

測定方法

  1. 試験地盤面を整形し、三脚を水平に固定する。
  2. 反力を載せる。(写真参照)
  3. データ計測およびデータシート記入。
  4. 載荷圧力-沈下曲線を作成。
  5. 計測結果の考察。

試験データの計測

簡易支持力試験を行う際は、圧力ポンプで所定の圧力(0.025Mpa刻み)をかけます。所定の圧力を維持している状態で、沈下量計測目盛を読み、データシートに記入します。

以上の作業を最大荷重に相当する圧力まで繰り返し行います。
また、測定回数は1箇所あたり10回以上とすることで、より制度の良い結果を求めることができます。

試験結果の整理方法

測定後、記入しておいたデータを専用のデータシートに入力します。必要項目を入力することで、載荷板面積や載荷圧力は自動で計算されます。

ポンプ目盛に対応した計測変位目盛値をデータシート所定欄に入力していきます(表1)。全データを入力すると自動でグラフが作成されます。(図1)

「載荷圧力 - 沈下量曲線」で沈下量が急激に増大し始めるとき、もしくは載荷板やその周辺地盤の状況が急激に変化し、載荷が難しくなり始めたときの荷重を、極限支持力として読み取ることが出来ます。

本試験機の特性として載荷板の面積が大きいほど、土粒子の大きさが小さいほど測定結果の精度が高いと言えます。

また、データのばらつきがある場合は、それらを考慮した上での総合的な判断や、データ数の追加や大型の載荷板の利用、もしくは平板載荷試験等を行ってください。

平板載荷試験や各種支持力試験機との整合性

エレフットの極限支持力度算出性能を確認するため、同一条件の下で各種支持力試験を行い、その結果について比較・検討しました。

調査対象地盤は、粘土分を多く含む3種類の粘性土地盤です。また、対象地盤の平面的な広がりや深度については、既存ボーリング資料や同時に実施したミニラムサウンディング試験及び、表面波探査試験から確認しています。以下が比較検討用に行った支持力試験です。

平板載荷試験と簡易地盤支持力試験の比較

簡易支持力試験と平板載荷試験の極限支持力の比較では、3箇所の試験地盤で誤差0.8%~12.5%との結果が得られました。

下の図に示す直線は、廃盤載荷試験と簡易支持力試験結果が、1:1の対応を示した場合の直線です。このグラフからも強い相関があることが確認でき、簡易支持力試験機における極限支持力度は、土質物生の違いを反映した結果を十分に確認できるといえます。

また本試験地盤は、20mの距離感覚で3箇所の支持力試験を行った結果で、約36%もの極限支持力度の違いを生じておりました。

このことから、1箇所の平板載荷試験の結果を広範囲に適用することは危険を含んでいると考えられますので、比較的広範囲の地盤における支持力特性の把握においては、平板載荷試験のデータの変動幅を推定することや平板載荷試験の補完を目的とした簡易支持力試験機の使用の重要性が確認できます。

平板載荷試験と各種試験結果の比較

平板載荷試験に対して、キャスポル試験で11.5%~17.7%、一軸圧縮試験では最大20.5%の誤差が生じました。

この結果から簡易支持力試験に夜極限支持力度は他の方法で測定した極限支持力度よりも誤差が小さい結果になっております。

結果として、誤差の程度はあるにしても、いずれも正の相関があることが図2に示すグラフから分かります。

各種支持力試験結果比較表
試験方法 試験 No.1 試験 No.2 試験 No.3
平板載荷試験 300 255 400
簡易支持力試験 276 (8.0) 257 (0.8) 450 (12.5)
キャスポル試験 247 (17.7) 213 (16.5) 446 (11.5)
一軸圧縮試験 258 (1.8) 318 (20.5)

※単位は(kN/m²)、()内は平板載荷試験に対する誤差(%)

本性能確認試験で得られた結果

まず、平板載荷試験や他の支持力試験と極限支持力度算出性能を比較した結果、粘性土地盤においては高い整合性があることが確認できました。

また、本試験で対象とした粘性土や砂混じり粘土では十分な適用性が確認できました。

さらに、簡易地盤支持力試験機を使用することで、平面的に土質状況の変化に迅速かつ的確に対応することができ、広範囲における地盤調査や平板載荷試験の補完試験として使用することの有効性が確認できました。

エレフットの実績【国交省】

場所内杭工支持力確認(全6ヶ所)

ボックスカルバートの基礎支持力確認(1ヶ所)夜間

L型擁壁の基礎確認(全3ヶ所)

ボックスカルバートの基礎支持力確認(全2ヶ所)

大型ブロックの基礎確認(全3ヶ所)

テールアルメの基礎確認(全4ヶ所)夜間

※変わった計測に大型クレーン(360t吊 他)のアウト・リガー支持力確認などもあります。

※各地でNETIS登録技術として活用されています。